今回は,子どもから大人になるその過程である思春期の人間関係について学ぶ。
特に思春期は青年期前期として心理学では捉える。青年期は,前期,中期,後期となり,その青年期は,周辺人マージマルマンとも表現される。大人でもない子どもでない,その中間としての約20年間の心理的特徴と対人関係について理解してほしい。
青年期前期,思春期の特徴について。
尾崎豊の15の夜の歌詞は,思春期で揺れ動く青年の心の中を垣間見ることができると同時に,その当時の自分の心を思い出してくれるものだ。これが思春期だと理解できる。どうしてそんなに感情が大きく揺れ動くのか,心理学ではこの時期を「疾風怒濤」といい、揺れ動く感情の中で、家族関係、友人関係や自分の将来どうなっていくのか,自分のことがよくわからない。また、将来の自分に強い不安を抱く。
尾崎豊の「15の夜」の歌詞から思春期の精神的特徴を読み解いてみよう。

思春期の脳の働きについても学ぼう。
まずは,男性ホルモン(アンドロゲン)と女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が盛んになり,男の子は男らしく,女の子は女性らしい身体に変化していく。外見上の変化ばかりでなく,この性ホルモンが脳の働きも大きく変えていくのだ。特に,思春期(中学生時代)に入ると扁桃体と海馬の働きに大きく影響していく。女性ホルモンは海馬の働きに強く影響し,女性の記憶力が男性よりも優位に勝るようになる。男性ホルモンは,扁桃体に強く影響し,男性は感情のコントロールの困難さを強く感じるようになる。
資料:男性ホルモンと女性ホルモン ホルモンとは
ところで,脳の働きを捉えるとき,先ずは,3つの区域に分けて捉える。脳幹,大脳辺縁系,れと大脳新皮質である。大脳辺縁系が本能的機能(性欲と食欲),即ち種の保存と,個体維持に関与する器官である。この領域は幼児期から機能しており,特に思春期から働くというわけではない。例えば,好き嫌いという次元は乳児期から既にできあがっている機能である。しかし,思春期になると性ホルモンの影響で,この部位の機能が更に活発となる。このことを感情爆発ということばで表現したりする。感情爆発を抑える働きは,青年期初期は弱いのである。感情を理性で抑える働きは大脳新皮質の前頭葉の前部,前頭前野の機能である。前頭前野の機能がそれなりに整ってくるのは青年期後期からであり,30歳頃までには前頭前野の機能が完成していくと言われる。しかしながら,この部位の発達は人生そのもので有り,死ぬまで完成しない部位である。それだけ,個人差が大きく反映する部位で有り,個々人の人生そのもののを反映する部位であるといえる。
課題:今日の講義と照らし合わせて,自分の思春期を振り返り,感想を提出してください。
締切厳守 6/12 pm 5時までに