6/11 人間関係論の基礎的意義(7)

今回は,子どもから大人になるその過程である思春期の人間関係について学ぶ。
特に思春期は青年期前期として心理学では捉える。青年期は,前期,中期,後期となり,その青年期は,周辺人マージマルマンとも表現される。大人でもない子どもでない,その中間としての約20年間の心理的特徴と対人関係について理解してほしい。

青年期前期,思春期の特徴について。
尾崎豊の15の夜の歌詞は,思春期で揺れ動く青年の心の中を垣間見ることができると同時に,その当時の自分の心を思い出してくれるものだ。これが思春期だと理解できる。どうしてそんなに感情が大きく揺れ動くのか,心理学ではこの時期を「疾風怒濤」といい、揺れ動く感情の中で、家族関係、友人関係や自分の将来どうなっていくのか,自分のことがよくわからない。また、将来の自分に強い不安を抱く。
尾崎豊の「15の夜」の歌詞から思春期の精神的特徴を読み解いてみよう。

思春期の脳の働きについても学ぼう。
まずは,男性ホルモン(アンドロゲン)と女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が盛んになり,男の子は男らしく,女の子は女性らしい身体に変化していく。外見上の変化ばかりでなく,この性ホルモンが脳の働きも大きく変えていくのだ。特に,思春期(中学生時代)に入ると扁桃体と海馬の働きに大きく影響していく。女性ホルモンは海馬の働きに強く影響し,女性の記憶力が男性よりも優位に勝るようになる。男性ホルモンは,扁桃体に強く影響し,男性は感情のコントロールの困難さを強く感じるようになる。
資料:男性ホルモンと女性ホルモン ホルモンとは

ところで,脳の働きを捉えるとき,先ずは,3つの区域に分けて捉える。脳幹,大脳辺縁系,れと大脳新皮質である。大脳辺縁系が本能的機能(性欲と食欲),即ち種の保存と,個体維持に関与する器官である。この領域は幼児期から機能しており,特に思春期から働くというわけではない。例えば,好き嫌いという次元は乳児期から既にできあがっている機能である。しかし,思春期になると性ホルモンの影響で,この部位の機能が更に活発となる。このことを感情爆発ということばで表現したりする。感情爆発を抑える働きは,青年期初期は弱いのである。感情を理性で抑える働きは大脳新皮質の前頭葉の前部,前頭前野の機能である。前頭前野の機能がそれなりに整ってくるのは青年期後期からであり,30歳頃までには前頭前野の機能が完成していくと言われる。しかしながら,この部位の発達は人生そのもので有り,死ぬまで完成しない部位である。それだけ,個人差が大きく反映する部位で有り,個々人の人生そのもののを反映する部位であるといえる。

課題:今日の講義と照らし合わせて,自分の思春期を振り返り,感想を提出してください。
締切厳守 6/12 pm 5時までに

5/28 人間関係論の基礎的意義(6)

環境ホルモンとは
代表的なもはポリ塩化ビフェニル & ダイオキシン

ポリ塩化ビフェニル
熱に対して安定で、電気絶縁性が高く、耐薬品性に優れている。加熱や冷却用熱媒体、変圧器やコンデンサいった電気機器の絶縁油、可塑剤、塗料、ノンカーボン紙の溶剤など、非常に幅広い分野に用いられた。一方、生体に対する毒性が高く、脂肪組織に蓄積しやすい。発癌性があり、また皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こすことが分かっている。
ダイオキシン
ダイオキシン頼は、炭素・酸素・水素・塩素が熱せられる過程において副生成物として発生する。発生源としては、ごみ焼却、製鋼用電気炉、たばこの煙、自動車の排気ガスなど。ダイオキシン類は消化管、皮膚、肺より吸収されることが判明しているが、一般的な生活状況では日常生活におけるダイオキシン頼の総摂取量のほとんどは経口摂取によると報告されている。
ダイオキシン頼の毒性は一般毒性、発癌性、生殖毒性、免疫毒性など多岐にわたりそれぞれの毒性発現量は異なると考えられている。動物実験や疫学調査によりダイオキシン類のヒトでの体内半減期は約7.5年と考えられている。
特に問題となるのは妊婦の胎児への影響である。さらに、母乳には脂肪が多く含まれており、ダイオキシン績は脂肪分に多く含まれることが知られており、ダイオキシン類を摂取した授乳期の母親は食事について十分注意する必要がある。
参考   シックハウス症候群
近年、住宅の高気密化なと、が進むに従って、建材等から発生する化学物質などによる室内空汚染等と、それによる健康影響が指摘され、「シックハウス症候群」と呼ばれています。その症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など。

以下に添付資料として発達障害の図を記載。まずは確認 !!
発達障害とは

ASD,ADHAそれとLD(学習障害)の子ども,大人たちの心理的特性を理解することが,彼らの生きか方を大きく変えることになる。これだけマスコミ等で発達障害について知ることになってはきたが,周囲の人たちの理解はまだ十分とはいえれない。20年前は幼児か小学校の児童であった彼らが今は社会人として、私たちとともに仕事や生活をともにしているのだ。本当に私たちは彼らの心理的特性を理解して、それに相応した理解や援助を行っているのであろうか。はなはだ疑問だ。

さらに,大人の発達障害,特に対人関係の中で大人の発達障害を理解して対処することは重要なことであろう。

現在を生きる大人たちにとっては,子どもと大人の発達障害の特徴を理解者が重要になっている。
子ども理解に積極的に関わっている両親の態度を理解しそれから我々も学ぶものが多い。以下の資料を参照し,私たちも発達障害の理解に努めよう。
資料添付: https://www.neuropsychology.jp/wp-content/uploads/2022/06/OkinawaGakuinReport_Adult_20100724.pdf

課題:今日の講義で,あなたにとって発達障害について新たに知ったことはどんなことでしょか。
締切 5/29 pm 5:00 時間厳守

5/21 人間関係の基礎的意義(5)


どうして赤ん坊を左胸に抱くのか,実験してみよう。
学生ボランティア10名に前に出てもらった。そして,講師が各学生に新婚時を想起してもらい,一つは,スーパーでの週末の買い出しを想像してもらい,もう一つは最初の赤子と対面したときの抱き方のポースを取ってもらった。そうすると,買い出し袋では正面に両手で抱えるように持ったが,初対面の赤子の場合は約8割の学生が左胸に赤子の頭が向くように抱いた。赤子を自身の心臓の上の胸に抱く,これが一般のおかあさんの赤子の抱き方なのである。もし,そうでない抱き方であれば,母親の養育に対する何らかの背景に問題を抱えている可能性とする研究結果を紹介した。

今日の講義内容
幼児とその母親との関係に基づく基本的信頼関係の獲得には,愛着の問題が根底にある。
資料:2012_アタッチメント愛着 新訂発達心理学特論 放送大学 p46-56
https://www.neuropsychology.jp/wp-content/uploads/2023/06/2012_AttachmentP46-56.pdf

心理学ではこの愛着の現象についてアタッチメントという言い方で捉えている。ビデオでは,「小学生の幸美ちゃんの赤ちゃん返り」を視聴した。乳児院で育った幸美ちゃんは小学生になって,本当におかあさんは自分を愛しているのだろうかと無意識的に思うようになり,そのことを十分意識できず,行動で知ろうとしたのだ。人間は合理的に自分の行動を制御していると思っているが,実は無意識的な水準で行動を行っていることが多いのだ。愛情を確かめるに,周囲の人の嫌がることを敢えて行う。特に,幼児期,児童期,思春期にはこのような現象が多々見られるのだ。何歳になっても,第一の発達課題を乗りこえることはその後の人生に大きく影響する。

一方,里親のとった態度には感動する。幸美ちゃんの生い立ちについて手作りの絵本で示し,その内容について親が説明するのではなく,あくまでもご本人に絵の内容について説明させる。また,彼女が小学生の二三年生であったことがまたいい。心理療法の一つに,認知行動療法という技法がある。まさに,里親はこの認知行動療法を地で行っているといえる。

認知行動療法とは
学生はテキストの認知行動療法の箇所に目を通しておいて欲しい。p117参照
資料:マンガでやさしくわかる認知行動療法 玉井仁 日本能率協会 2019
https://www.neuropsychology.jp/wp-content/uploads/2023/06/0102_manga_CognitiveBehaivorTherapy.pdf

課題:赤ちゃん返りのビデオを視聴し,受講生はどう感じましたか。講義を通して,感じたこと,思ったこと,その他を書き上げ送信して下さい。

締切 6/22 pm5:00 時間厳守 

     

    5/14 人間関係の基礎的意義(4)

    テキストp8のEriksonの発達段階について考えてみることにする。

    Eriksonは人間の発達段階を8段階で説明している。彼の8段階の視点は,社会的危機という考え方で設定している。即ち,各発達段階にはそれぞれ危機があるということです。危機とは,危険と機会ということを意味します。各時期は次の発達段階での機会になる。この機会をうまく乗りこえないと社会的適応がうまくできなくなる。

    今回は,幼児期,乳幼児期について説明することにする。Eriksonの発達段階
    ・乳児期 基本的信頼 vs.基本的不満
    ・幼児期初期 自立性 vs. 疑惑
    ・遊戯期 積極性 vs.罪悪感

    2歳~3歳にかけて、子どもは自我が芽生えてくる。何事も母親に依存していた乳児が、身体的に発達してきて、歩行にしてもよちよち歩きから、少しずつスムーズに力強く歩行できるようになってくる。手指の微細運動もそれなりにできるようになり、精神的にも自分というものを感じて行動ができるのが幼児期初期である(自我の芽生え)。

    そこで重要なことは、その前の乳児期での愛着行動(アタッチメント)が正常に形成されてきたかということが問われる。正常な愛着形成の基本は、母子関係が正常であるかどうかで決まる。愛着とは「ある特定の人の間に形成される心の絆」といえる。母親を安全基地としてアタッチメント行動ができるかということが重要なことである。ストレンジ・シチュエーション法を思い出してほしい。四つのパターンがあった。①回避群 ②安全群 ③両面価値群 ④非構成的・非指向的群である。講義で強調した群は、③両面価値群である。母親に対して接近と回避を示す行動である。

    先ずは、下図に示したアタッチメントを説明する、ストレンジ・シチュエーション法をビデオで確認することからはじめる。
    その後、NHKのごく最近の番組で、「アタッチメント」の特集があったので、そのビデオも上述のビデオと比較して、アタッチメントという概念が、昨今重要になっている状況を理解しょう。

    上述の資料の入手には以下をクリックして下さい。
    https://www.neuropsychology.jp/wp-content/uploads/2023/05/strange_stuation_procedure-scaled.jpg

    p67 集団での問題解決と意思決定
    家族という集団を理解するあたって、リーダーシップとPM理論の観点から理解しよう。
    PM理論とは

    シングルマザーの沖縄での子育てを例として説明する。
    アタッチメントでいう主たる対象者は母親であるといえるが、何も母親に限ることでない。対象者が父親でもいいし、祖父母でもいい。その対象者が存在しているということが重要になってくることを忘れないでほしい。

    沖縄の子育てを考えたとき、本土の先を行っている現象の一つにシングルマザーの数の多さである。それは離婚率の多さにも関係する。沖縄と北海道が離婚率が高い。離婚すれば子育ては一人親ということになる。特に、沖縄の母親の就労の所得は低すぎる。子どもを養うにして、経済的余裕がなくなる。仕事を掛け持ちしたりして収入を増やす努力をすれば、どうしても子どもとの接する時間的余裕もなくなってくることになる。その結果、子どもとの関係性の余裕もなくなるのだ。関係性とは愛着と言い換えてもいい。

    愛着の視点からすれば、由々しき問題である。乳児期、幼児期、児童期までは子どもと配偶者との関係性が、子どもの後の健全な発達のために重要である。

    自分のアタッチメント・スタイルを検査してみよう。アタッチメントスタイル尺度
    https://www.brieftherapy-counseling.com/attachmentstylediagnosis.html


    https://www.neuropsychology.jp?download=2658&tmstv=1716182891


    課題 自分のアタッチメント・スタイルを分析してみよう。回避型、不安型、安定型の現れ方はどうだったか。
    締切厳守 6/15 pm5:00 締め切りました



    5/7 人間関係の基礎的意義(3)

    「積み木の家」短編アニメーションを鑑賞
    このビデオを見て、みなさん学生は何を感じますか。

    人は,一生の中で,その時その時,いろいろな人との出会いがありその影響を受けながら生きていく。ある時ふと,あの人の影響を大きく受けた,その影響が今の自分の一部になっている。なんてことを人は思うことがある。言うまでもなく人は日々常に他人との関係の中で生きているのであるが,そのことをただ意識していないだけである。
    過去の思い出は,どんなに楽しい思い出でも,またどんなに悲しい思いでも過去の出来事として思い出される。その時の強い正,負の感情は意識的には理解できも同様な感情を伴って思い出されることはない。過去のある時,ある時点での出来事になっていく。しかし,もし,その出来事を感情を伴って現在今でも現れるとすれば,その記憶である出来事は過去の話ではない。いわゆるそれはトラウマ(心的外傷後ストレス障害)となって自己の現在の生活でストレスを生んでいることになる。そのことで,今も心が乱れ,精神的にも生理的にも何らかの障害を生じているとすれば,その解決か解消が必要になる。
    この講義の目標は,心身的な自分と発達途上にある自分について,自分の置かれている環境を熟知することによって,人間関係の視点から自分(自己)を見つめ直すことである。言い換えると,心身共に健康的で,前向きに生きていくその指針の獲得を目標としている。

    次に,Eriksonのライフサイクル論について学ぶことにする。(テキストP7 人間発達参照)

    課題 今の自分(自己)に一番影響を与えて人は誰、その人からどんな影響を受けたのでしょうか。エピソード(具体的な出来事)を交えて語ってください。
    締切厳守5/8 PM 5:00


      4/30 人間関係の基礎的意義(2)

      自分とはどういう人間か? 自己認知とは

      これまで2回の講義を行いました。非常に真面目に視聴してくれているというのが,僕の皆さんに対する感想です。また,皆さんから送られてくるコメントを読んでも真面目に丁寧に書かれているという印象です。このような態度が最後まで続くと,この講義は成功です。皆さん頑張りましょう。

      ところで,前回の講義では,非言語情報が対人関係において重要なサインになることを,脳に備わったミラーニューロンという概念で説明した。鳥類などは音声信号を通してお互いの位置情報を交換して集団として行動することも説明した。特に人間にとっては,言語という機能を獲得したことでお互いのコミュニケーションを豊かにしてきた。しかし,お互いの非言語性の情報交換が人間関係には非常に重要になること,特に人の感情を読み取ったりすることが,社会性を育む上で重要になる。一言で言うならば,対人関係では他人と自分の脳を共有することになる。
      「母親と子どもたち」,「先生と生徒」そして「友と語らう」など、すべては他人の脳と自分の脳を共有して会話をしているのである。人間としての会話を成立させるためには,先ずは健全な脳をもっていなければならない。知的な水準が低い人や、精神的に病んでいる人との脳の共有は困難である。私たちは常に健全な脳を育むことに努力して行く必要がある。

      赤ん坊が乳児になり,それから幼児,児童,青年となる成長段階を考えた場合,そこには健全な脳を育む教育が必要になるだろう。そのためには家庭,学校,それから我々を取り巻く社会環境が健全でなければならない。

      以下は前回までの復習と重なるところがありますが,「人間関係論Jを学ぶには, 2つの軸があること。
      一つの軸は人聞は成長・発達する中で, 言い換えると子どちから大人になる過程で,他者との関わりの中で生きていくという軸です。すなわち,人間は集団の中で常に生きていく存在を表す軸です。言い換えると,生まれてから死に至るまで時間軸の中で,いろいろな他者との関わりを持って生きていく。その中で自分という存在があるのです。
      もう一つの軸は,個人そのものについて考える軸です。自分とは何か,自分はどんな人生を送っていきたいのか。自己を熟知する必要があります。すなわち,I know myeself ということになります。
      すなわち,自己理解,さらに、現実の自己,理想的な自己像、クローズな友がみている私の自己像を自己分析することによって、自分が今まで気づいてない自己像を客観的に評価することによって,今までと違った自分に気づく助けとなる。

      Who am I ? テストで、わかることは、実習してみよう。

      自己評価チェックリストで、自己評価
      自己像とはどう説明すればいいのか、心理学的に説明が必要であろう。
      考察の観点は,
      ・自己の在り方と対人関係の2点で,現実の自己評価はどうであったか。
      ・現実自己評価と理想自己評価とを比較して,その結果はどうか。
      ・現実自己評価と他者からの自己評価との比較ではどうか。

      この課題を実施した理由は、テキス卜の第1章人間関係の中の自己と他者 B.自己認知 C.他者認知の講義内容を、ワーク実践からはじめ、理解を容易にするためである。
      テキス卜のB.自己認知c.対人認知について説明 P4~。

      今日の課題
      今日の実習で,どのような結果よって,どのような自分に気づきましたか。
      締切 5/1 pm 5:00まで(時間厳守)

        4/23 人間関係の基礎的意義(1)


        人間関係論の講義では,先ずは,前回の3つの資料説明からはじめます。

        私たちが生きている現在と150年ほどの昔とは,平均寿命が全然違う。
        150程前,丁度日本では江戸時代から明治時代に変わるときであった。人生50年であった,今では50歳といえばまだ現役の働きざかりの大人である。当時の特徴は,老年期という時期が非常に短い。病気や種々の原因で人は短命であったので老年期を過ごす老人は絶対的数では少なかったことが考えられる。だから,当時は長老ということばがしめすように,高齢者は尊敬され崇められていたに違いない。現在は,近い将来四人に一人は70歳以上の人がしめると言われている。現在高齢期の延長が生じており,高齢者の心理,社会的問題が学問上も重要なテーマとなっている。
        一方,青年期ということばも150年前には存在してなかった。その時代は一晩にして子どもから大人になる時代であった。身体的にはすこしずつ成長して身体は大人になっていくのだろうが,精神的には元服などの儀式を通して,明日から大人として子どもは扱われることになる。その最たるものが,13歳になったら,自分の行いは自分で責任を取るということが社会から求められていたのだ。大人の責任の取り方は,武士であれば切腹という方法であったのだろう。現代はこの青年期の延長が特徴となっている。子どもから大人になる間に20年近くをマージマルマン(周辺人)として,大人でもない子どもでない時代を過ごすことになる。まさに受講生の皆さんはこの時期を過ごしていることになる。それではこの時期の精神的構造はどうなっているのであろうか。心理学はこの時期の青年の心理・社会的特徴を研究する学問でもある。



        次に,人間は社会的動物であるといわれるが,生まれてから死に至るまで,いろいろな社会との関わりの中で生きている。先ずは母親との関係,それから家族,それから社会,その後は回帰してまた家族との関係が強くなり年老いていく。誰と関わったかということが自分の将来に大きく関わる,皮肉にもその時はよくわからないが,過去を振り返ったとき,当時に関わった人の影響を強く受けていることを実感する。

        最後に,人の精神機能は脳の発達とともにある。各発達段階で脳の発達の特徴は大きく異
        なる。しかしここで重要なことは,人間は無人島では生きていけない。常に他人の脳と脳
        を共有しながら脳と心は発達していくのである。この違いが個性を生むことになる。


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        4/16 第1回オリエンテーション

        ここ数年間、講義では学生のマスク姿で講義時の学生の反応がイマイチ読み取れない状態での講義でした。この講義はタイトルで示しているように、「人間関係論」で、人との関わりについて心理学や脳科学を中心に講義する科目です。

        他人とのコミュニケーションということを常に意識しなければなりません。人とのコミュニケーションは、言語的なコミュニケーションと非言語的なコミュニケーションがありますが、マスクをして目だけでは、相手の表情などの非言語的な情報を認識することが十分でないということになります。たとえば、相手が「好きよ」といっていても、表情等の非言語なサインでは、全くそうでないかもしれません。その微妙なサインを私たちは無意識的に処理し、相手の心を読んでいるのです。

        今年も「人間関係論」の講義を私が担当することになりました。
        今日は,ますはじめに,オリエンテーションを通して、講師の紹介と講義内容について概略を理解して戴きます。

        講師は琉球大学名誉教授・富永大介が担当します。

        私は、長らく浦添看護学校で心理学関係の講義を担当して来ました。琉球大学や他の沖縄の大学や沖縄県内の看護師養成機関の大学、専門学校で教鞭を執ってきました。また、琉大の病院で長らく神経心理学の観点から、多くの患者さんとお付き合いをして参りました。そのような経験を踏まえて、講義を展開して行きたいと考えています。また私は客員教授として、スウェーデンのカロリンスカ大学で研究と教育に携わっていましたので、その時の経験をこの講義の中で少しは生かして行きたいと考えています。


        人間関係論を学ぶにあたって、基本的に理解しておくことは,縦と横の軸で捉えるということ。縦の軸は,言い換えると時間軸と考えることができます。人は生まれてから死に至るまで,人生百年時代を生きていくのです。乳幼児期から高齢期までの人生を見据えた人間関係を理解すること。もう一つの軸は個人の軸です。人と人との関係の軸です。人は一人では生きていけません。いつも自分の周りには他人がいます。家族であったり,友達であったり、恋人であったり、その人間関係の中で生きていっているのです。対人関係の心理的理解が重要になってきます。言語的なコミュニケーションばかりでなく、非言語的なコミュニケーションも他人を理解する上で重要な情報を提供してくれます。


        次に,人間は社会的動物であるといわれていますが,生まれてから死に至るまで,いろいろな社会との関わりの中で生きている。先ずは母親との関係,それから家族,それから社会,その後は回帰してまた家族との関係が強くなり年老いていく。誰と関わったかということが自分の将来に大きく関わる,皮肉にもその時はよくわからないのですが,過去を振り返ったとき,当時に関わった人の影響を強く受けていることを実感を体験するでしょう。

        最後に,人の精神機能は脳の発達とともにある。各発達段階で脳の発達の特徴は大きく異なる。しかしここで重要なことは,人間は無人島では生きていけない。常に他人の脳と脳を共有しながら脳と心は発達していくのである。この違いが個性を生むことになる。

        講義資料 添付 「社会脳の視点からage, family,mirror neuron」
        https://www.neuropsychology.jp/wp-content/uploads/2024/04/0260df91e4ff0131ab9f5bdd2cd90c59-1.pdf

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