5/7,8 第3回 胎児期と新生児期の心と脳の発達の特徴

胎児期と新生児期は、心と脳の発達が始まる極めて重要な時期である。胎児は母体内で触覚・味覚・聴覚・視覚といった感覚を順に発達させ、外界からの刺激に反応するようになる。

特に聴覚は早く機能し、母親の声や周囲の音を聞いて学習している。新生児は泣き声や微笑みなどを通じて快・不快といった情動を表現し、養育者との相互作用の中で感情を発達させていく。このようなやりとりは愛着の形成につながり、情緒の安定や社会性の基礎を築く。

脳の発達は神経管の形成から始まり、大脳や小脳の成長、神経細胞間の結びつきであるシナプスの増加を経て、感覚・運動・認知といった高次機能が育まれる。さらに、シナプスは使われないものが刈り込まれ、効率的な神経回路が整備される。この過程には環境からの刺激が深く関与しており、適切な刺激が脳の発達を促す。

母体のストレスや栄養状態は胎児の発達に大きく影響するため、妊娠期の心身のケアが極めて重要である。出生後のカンガルーケアなどの支援も脳の成熟や親子関係の形成に効果がある。

看護師は、こうした知識をもとに母子への支援を行い、子どもの健やかな成長を支える責務を担っている。