2) 生涯発達の概要

第1節 心の発達とは何か

発達とは、出生から死に至るまで心身が変化し続ける過程であり、単なる成長だけでなく成熟や衰退も含む。本章では、人の発達は遺伝的要因と環境的要因の相互作用によって形づくられると説明される。シュテルンの輻輳説やジェンセンの環境閾値説は、能力や性質によって遺伝と環境の影響の受け方が異なることを示している。また、家系研究法や双生児研究法によって、知能・性格・身体的特徴への影響が検討されてきた。さらに、ピアジェは認知発達の段階性を、ヴィゴツキーは他者との相互作用による学習の重要性を、エリクソンは生涯にわたる心理社会的課題を示した。これらの理論は、人が各発達段階で課題を乗り越えながら自己を形成していくことを理解する基礎となる。

第2節 脳と身体の発達

身体と脳の発達には一定の原理がある。身体の発達は頭部から足部へ、中心から末端へ進み、粗大な運動から細かな運動へと分化し統合される。発達は連続的である一方、器官ごとに速度が異なり、スキャモンの発達曲線では神経系・リンパ系・生殖系などが異なる成長パターンを示す。また、初期経験がその後の発達に大きな影響を与える臨界期の概念も重要である。脳の発達では、神経細胞(ニューロン)の樹状突起の伸長や髄鞘化が進み、情報伝達の効率が高まる。さらに、脳幹は生命維持、辺縁系は情動、大脳新皮質は思考や判断を担うなど、構造と機能の分化が進む。こうした成熟が心の働きの基盤となる。

第3節 社会のなかでつくられる脳と心

人間の脳は生物学的器官であると同時に、他者との関係のなかで育つ「社会脳」である。乳児期には母子関係、幼児期には家族、学童期には学校、成人期には職場や地域社会、高齢期には配偶者や家族との関係が中心となり、その時々の人間関係が心と脳の発達に影響する。人は孤立して成長するのではなく、対話や協力、共感を通して自己理解や社会的判断力を高めていく。とくに前頭前野は、感情調整、他者理解、計画行動などを担い、社会脳の中核とされる。近年のミラーニューロン研究も、他者の行動や感情を理解する脳の仕組みを示している。生涯発達とは、個人の内面的成熟と社会的つながりの変化を通して進む全人的な発達過程である。

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今日(4/22,23)の課題: 生涯発達心理学の講義資料として、「積み木の家」のビデオを視聴しました。このビデオで一番印象に残ったシーンは何処でしょうか。
締切 4/24 pm5:00 時間厳守 締め切りました。