7/2 人間関係論の基礎意義(10)

前回の講義では,前成人期の発達的意義について,ジョンレノンの例を引き合いに講義を行った。
青年期のアイデンティティから,第二のアイデンティティといえる前成人期では,Eriksonが,「親密性」という概念で説明する,それは多くは配偶者といえる他者との親密性の獲得が重要である(職場での人間関係でも同様)。その他者との一体とは,1+1=2ということではなく,1+1=2以上になる広がりを,他者と共に獲得し,醸成することに他ならない。


40歳は成人期の始まりである。ユングは40歳を人生の正午と表現し,それまでの日が昇るように,自己の未来に永遠の広がりを感じる時を過ごしてきたが,40歳を過ぎると,少しずつ自分の未来や将来の姿が見えてくる。また,徹夜で仕事をすることが出来なくなり,少しずつ髪に白髪が混じり,近くの字を読むのに疲れを感じるなど身体的な変化を感じる年に入って来る。ましてや40歳中頃になると少しずつ体に変化が生じてきて,いわゆる自律神経系の変化によって現れる更年期障害という症状を多くの人が経験することになる。特に女性ホルモンの減少によって,男性よりも女性の方がその影響を受けやすい。


一方,人は幼児期から児童期に経験したことが,この年になっても,また今後、年を取っていっても,いつまでも忘れることが出来ず,自分の心の中に存在し続けるのだ。家族や友との楽しい思い出をいつまでも思い出せるのは,自分の生きる力になるが,一方,忘れたくとも忘れられない負の記憶がいつもでも存在し続けることもある。人間は楽しかった思い出の出来事は一生覚えているが,しかし,その時,その瞬間の楽しかった鮮明な感情や情動はいつの間にか消失してしまって,その出来事のみが記憶として定着する。一方,このような正の記憶とは違った負の記憶は,感情や情動を伴いいつまでも自分の中でくすぶり続け,忘れてしまいたくても,しつこく思い出され,自分の日常の生活を危うくすることにもなる。ひいては精神的な病を引き起こす原因にもなる。

反応性アタッチメント障害という病は,幼児期の虐待などの負の体験が,その後の個人の人生に影響を与える病気です。そのことによって日常に生活に支障を来すことを,中年の女性の生き方から知ることができる。その女性は,幼児期に母親から虐待を受けたことによって,同一性解離性障害(多重人格)の病を引きおこす。

幼児期から児童期にかけての母親をはじめとした家庭環境が,子どもの成長に重要な影響を与えることを私たちはもっと真剣に考える必要がある。子どもの第一の居場所は,家庭であることを忘れてはならない。

ところで,このような精神的な病を治療するにはどうすればいいのでしょうか。最近脚光を浴びている治療法の一つに、EMDRという治療法があります。
EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)について紹介する。

ビデオ 「TV特集NHK トラウマから解放」一部編集

課題:あなたにとって家族とはどんな存在ですか。現実ても理想でも構いません。
締切 7/3 pm5:00 時間厳守



    1.追加資料(9/5)・添付 沖縄タイムス記事(ジャニーズ性加害者問題)

    2.追加資料・添付 トラウマの治療(肯定的変容を促す方法)